開催:2025年11月23日 13:00~15:30 三重大学医学部臨床講義棟第1講義室
この度、第1回地域枠制度フォーラムと題して地域枠卒業生が主体となって企画したフォーラムを開催し、総勢18名の方々にご参加いただきました。内訳は地域枠の在校生・卒業医師、大学教員の先生方、自治医科大学卒業医師、三重県庁医療人材課の方々、高校教員の方々、のろ志メンバーなどなど。3つのミニグループに分かれて、『地域枠制度出身医師が地域に行かない、または行けなくなってしまうのはなぜなのか?』という大きなテーマを掲げ、上記メンバーが各々の立場で、時には感情も交えながら、非常に活発なディスカッション・意見交流の場となりました。
私自身も長年悩んでいたことではありますが、『地域枠』という言葉の持つイメージは果てしないほど強く、また制度自体の複雑性も重なり、具体的な制度の内容を詳細に理解してもらうことはとても困難だと感じていました。このディスカッションの中でも、まず地域枠制度についての理解を深めていただくことに時間を要し、実際は3つのテーマを予定していたのですが、この『地域枠制度出身医師が地域に行かない、または行けなくなってしまうのはなぜなのか?』というテーマだけで2時間を使い切る形となりました。本フォーラムの流れでも、まずは制度の内容を理解することで地域枠在校生や卒業医師の気持ちや心情を汲み取るようになり、そこから制度の課題や今後目指すべき方向性についての対話へ繋がったように感じます。
ごく一部ですが、ディスカッションの中でみられた印象的な意見を共有したいと思います。
- 今後、制度が変わった際に自分自身で何かを選択・決定していくのに不安を感じる。(地域枠学生)
- 在校生、卒業医師の縦のつながりをしっかりと作らなくてはいけない。(地域枠卒業生)
- 自治医科大学は寮生活ということもあり、縦・横のつながりと、自分は医師不足地域で働くのだ、という気持ちが自然と強くなっていく。(自治医科大学卒業医師)
- 地域枠へ入学したのに、卒業後に地元の病院で働いているという話を聞かなくてずっと不思議だった。(高校教員)
- 高校OB/OGの地域枠学生に声をかけて受験生へ話をしてもらっているが、大学受験や学生生活の話が中心になっている。ぜひとも地域枠を卒業した医師にも卒業後の流れや制度について、高校生向けに話をしてほしい。(高校教員)
- 地域枠へ入学してくる高校生の覚悟がどの程度なのか、推し量ることが難しい。(大学教員)
- この会を通じて、地域枠制度について一生懸命考えてくれる人が多くておどろいた。(大学教員)
企画している段階ではこの地域枠制度フォーラムがどのような立ち位置や意味合いを持つのかは不明でしたが、『三重県の医療をより良くしていく』ことを目的とした地域枠制度に対する取り組みが、少なくとも明るく前向きな議論で進んでいけるように…という思いを目標としていました。実際に本フォーラムを振り返ると、非常に明るい雰囲気で前向きなディスカッションが行われ、何といっても「楽しかった!」と思えるフォーラムでした。このフォーラムで何か制度が決まる訳ではないですが、我々卒業生・のろ志が主体となって開催するからこそ、地域枠学生や卒業生が自身の不安や気持ちを伝えるとても大切な場となり、また制度設計や受け入れに関わる大学・県庁・関連病院のスタッフの方々においても自分の思いを伝える場となることができればと思います。
改めて第1回地域枠制度フォーラムにご参加いただいた皆様、またフォーラム開催にご賛同いただいた吉山繫幸先生、誠にありがとうございました。たとえ少人数であったとしても、この会が継続し続けることにとても大きな意義があると思います。次回以降もご参加いただけることを楽しみにお待ちしております!
第2回地域枠制度フォーラムは2026年春ごろに開催を検討しております。フォーラム以外にも地域枠の縦と横のつながりを作るために、様々な取り組みを開始していきますのでぜひともご参加よろしくお願いいたします。
ご意見やご相談がありましたら、のろ志もしくは松波、川崎へご連絡いただければ幸いです。
松波 山水 (いおうじ応急クリニック)
メールアドレス:s.matunami@minnano-kenkou.com
川﨑 俊也 (伊勢赤十字病院)
メールアドレス:kawashun1016@gmail.com
文:松波
