2025年9月7日(日)に、三重県津市のレンタル会議室プロム津駅前を会場として、「のろ志 第4回総会」が開催されました。
三重県内外の中堅・若手医師を中心に、学生、病院長クラスの先生方、そして地元企業の社長など、幅広い立場から30名以上の方々にご参加いただき、三重の医療の再興に向けた熱い志を共有する場となりました。
本会は、お金や制度に依存するのではなく、愛着や縁、故郷という基盤を通じて、県外に出た医師が技術を携えて帰還し、地域に活かすことができる環境を作ること、そして三重の医療をより良くすることを目的としています。

1.開会挨拶と「のろ志」の新たな広がり
開会に際し、のろ志大阪支部長 齋藤先生より挨拶があり、三重県にゆかりのある若手から中堅の皆様が三重に想いを寄せていることを歓迎しました。
三重大学長 伊藤先生からは、急性期から回復期・在宅といった地域医療の構築へと医療の方向性が変わってきている現状が共有されました。
桑名市総合医療センター理事長 白石先生からは、ユーモアを交えて医学生へのエールをいただき、懐かしい仲間の先生方との親交を深める場としてののろ志へのご期待をお話しいただきました。
三重大学教授 賀来先生からは医師偏在の課題解決のためにも地域の皆様との協力が必要であるとのメッセージをいただきました。



続いて、のろ志代表 江角先生からの挨拶があり、のろ志の活動経緯として、発足のきっかけが、卒後8年目から10年目の医師が「三重に帰りたいが帰り方が分からない」というニーズにあったことが改めて説明されました。
また、この半年間の新たな動きとして、相談役の会「のろ志チャッカマンズ」(9名の先生方で構成)と、県民と医療の垣根を下げることを目指す応援団「竹筒の会」が紹介されました。
竹筒の会からは、ISEKADOの鈴木社長が住民代表として参加いただき、都会で活躍する人材に地元へ帰ってきてもらうことへの強い関心が示されました。


現在、のろ志のメンバーは約130名に上り、課題解決を目指し28の部会が活動しています。
2.各部会からの活動報告
総会では、多岐にわたる部会から、これまでの活動と今後の展望について報告がありました。
- 看護キャリア部会:三重大学病院 看護師 加藤小梅氏より看護キャリア部会の紹介がありました。前回総会後に発足したこの部会は、「看護師を辞めたいと思う人を減らしたい」という切実な思いから活動しています。医師のような研修制度がないことや、キャリアプランのお手本が少ないといった課題を明確化し、様々なキャリアを持つ看護師との交流を通じて解決策を探っています。
- 地域枠制度部会:伊勢赤十字病院 川崎先生からは、地域枠制度部会の紹介がありました。この部会は地域枠制度の在り方を考えていくこと、制度を利用した卒業生が散り散りになっている現状を打破し繋がりを作ることを目的とした部会です。地域医療に従事する卒業生が少ない課題に対し、当事者の声を制度改善に反映させるべく、11月23日に第1回フォーラムを企画中です。
- 研修向上部会:川崎先生から続けて研修向上部会について説明があり、後期研修医を中心とし、実臨床での疑問を気軽に相談し、自己研鑽を積む機会としてZoomで症例ベースの議論を行っていることが報告されました。
- 医療制度部会:伊勢赤十字病院 井上先生の主宰により元厚生労働省事務次官の吉田学氏が講師として、医療政策に関する分かりやすい情報提供と解説を、スライド600枚に及ぶボリュームで展開しています。
- 医療とアートの部会:村岡ケンイチ氏による似顔絵セラピー、医療とアートの学校といった活動を通じて、医療現場での心のケアを推進しています。地域と連携し、心のケアを提供する病院づくりに貢献したいという展望が語られました。
- 医療DX・AI 部会:のろ志広報・IT担当の堀江宙氏により、国策としての医療DX動向や生成AIの活用について学ぶ勉強会を企画し医療DXの推進を目指します。
- 同窓会関連:のろ志副代表 松井先生からは、前日の同窓会での盛り上がりから、のろ志のような「縁」を繋ぐ場所の重要性が再認識され、他の学年の同窓会とも連携し、人が集まるハブとしての機能を強化したいという報告がありました。

3.キャリアプレゼンテーション:逆算思考のキャリアデザイン設計
キャリアプレゼンテーションでは、いしが在宅ケアクリニック理事長である石賀丈士先生(三重大学卒業25年目)が登壇し、「逆算思考のキャリアデザイン設計 ~三重県で在宅看取り数日本一の診療所を作るまでの物語~」と題して講演されました。

石賀先生は、三重県で在宅看取り数日本一(2022年達成)の診療所を運営されており、ご自身のキャリアを「逆算思考」でデザインしてきたことを強調されました。大阪や東京ではなく三重県で日本一を目指した経緯や、医師16名(男女各8名)、スタッフ73名という体制、そして若手医師が集まる魅力的な環境として、IT企業のようなデザインのクリニック建築(カフェや巨大滑り台など)を実現したプロセスを紹介しました。
在宅医療の現場で感じる「ドラマと感動」を共有し、最期まで穏やかに生きることを支える意義を説明されました。また、地域医療への貢献として、四日市市で自宅看取り率が20%に増加し、病院で亡くなる人が少ないエリアへと変革をもたらした「四日市モデル」が紹介されました。
若手参加者に向けて、「無限の可能性があるので、めちゃくちゃ大きい夢を描いてほしい」、そして「当たり前を疑う」ことの重要性を熱く語りかけました。
4.のろ志女子会企画:女医の働き方についてみんなで考えよう!
総会後半のプログラムとして、「のろ志女子会企画!女医の働き方についてみんなで考えよう!」と題した座談会とワークショップが開催されました。

本企画では、事前のヒアリングに参加した12名の女性医師のリアルな声をもとに、女性脳の強みである「共感」を活かした「井戸端会議」スタイルで、キャリア、職場、システムに関する課題が共有されました。「イクボス」の必要性や、病児保育・メンタリング制度の重要性など、具体的な生の声が挙げられました。
続くワークショップでは、「妊娠した同僚女性医師の急な休み」というケースについて、参加者が個人と職場全体でできるサポートや、今後の支援・仕組みについて熱く議論を交わしました。この議論を通じて、「恩送り」の文化、マンパワーの余白(バッファー)の確保、そして男女ともに子育てを支え合う意識の重要性が再認識されました。
議論の締めくくりには、参加者全員が「自分にできること宣言」や「こうなってほしい提案」を共有し、最後に「イクボス宣言」を記載し、未来に向けた力強い意志を示しました。この企画は、参加者の高い満足度(平均9.43点/10点満点)を得ました。
【ご案内】 「のろ志女子会企画 座談会」の詳細な報告については、以下のリンク先の別ページにて特集レポートとしてまとめております。ぜひご覧ください。
→ 『のろ志女子会企画:女医の働き方についてみんなで考えよう!』特集レポートへ
5.閉会に向けて
閉会にあたり、元厚生労働省の吉田学氏より総評が述べられました。総会が回を重ねるごとにバージョンアップしていることに触れ、本会のキーワードは「広がる」「繋がる」「まざる」であり、「ワクワクする」ことが何よりも大事であると強調されました。
また、三重大学病院長 佐久間先生からのビデオメッセージが上映され、三重大学病院が高度医療、教育、医師派遣といった役割を担う中で、のろ志と協力し、三重の医療の発展に尽力していく意向が示されました。
のろ志副代表 松井先生による閉会挨拶では、のろ志が医師だけでなく、学生、看護師、アートに携わる方、地域の方など、世代を超えて多様な人々を巻き込んでいる点が素敵だと述べられ、今後も集える場となることへの期待が語られました。


のろ志は、今後も三重県の医療従事者及び関係者と県民の皆様と共に、より良い医療環境の実現に向けた活動を継続してまいります。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。次期総会にもぜひご期待ください。懇親会はEBIIROにて盛況のうちに終了いたしました。

